派遣薬剤師でも退職金は貰えるのか?【薬剤師の平均相場も解説】
派遣薬剤師でも退職金が貰えるのか知りたいと悩んでいませんか?
転職後の収入を考える上で退職金も大きな要素となり得るので、知っておくことは重要です。
本記事では、派遣薬剤師でも退職金を貰えるのか、退職金制度の概要、高収入・高待遇で転職するためのコツを合わせてご紹介していますので、ぜひ参考にして下さい。
実際に転職サイトを利用して、病院薬剤師から派遣薬剤師(調剤薬局)に転職した経験を基にご紹介します。
派遣薬剤師でも退職金は貰えるのか?
早速、派遣薬剤師の退職金についてご紹介します。
結論、派遣薬剤師は退職時にまとまった退職金を貰えないが、退職金に相当する金額が時給に上乗せされている、と考えるのが一般的です。
派遣薬剤師への退職金は義務化されている?
退職金の支払いは企業の義務ではありません。
そのため、退職金制度がない企業も多いです。
実際、妻が利用した派遣会社の派遣労働者就業規則にも、「スタッフの退職に際して、退職金は支給しない。」と記載されていました。
ただ、2020年4月1日より改正労働者派遣法が施行され、「同一労働同一賃金」が導入となり、正社員と非正規社員の業務内容や雇用形態に対する待遇差解消を目指す動きとなりました。
退職金(退職手当)も待遇改善項目であり、派遣社員に退職金も考慮した賃金が支払われる流れになっています。
派遣薬剤師の退職金は時給に上乗せされている
派遣薬剤師の時給には、賞与や退職金、住宅手当に相当する金額が含まれ、高く設定されていることが一般的です。
そもそも、派遣社員の時給は下記いずれかの方式で派遣会社が決めています。
- 派遣先均等・均衡方式
→派遣先企業(職場)で同じ勤務をしている人と待遇を同等にする - 労使協定方式
→派遣会社と労働者代表が待遇を規定する
「派遣先均等・均衡方式」、「労使協定方式」のどちらで規定されても、賞与や退職金を含んだ正社員やパートの待遇を基準に考えられており、「同一労働同一賃金」になるよう検討されています。
そのため、派遣薬剤師は退職金を貰えませんが、時給や勤務時間で考えると求人によっては正社員やパートより年収が多いこともあります。
高時給は派遣薬剤師のメリット!
派遣薬剤師でも退職金を貰えるケースとは?
一般論として、派遣薬剤師が退職時にまとまった退職金を貰えるケースは下記の通り。
- 退職金制度がある派遣会社で働く
- 中小企業退職金共済制度(中退共)加入の派遣会社で働く
- 「紹介予定派遣」で働く
1つ目の「退職金制度がある派遣会社で働く」は文字通りであり、派遣会社から退職金を貰います。
ただ、薬剤師の派遣会社で退職金が設定されていることは稀です。
2つ目は、中小企業退職金共済制度(中退共)加入の派遣会社で働く方法。
中退共とは、日本の中小企業が加入できる国の退職金制度です。
従業員が退職した際、中退共から直接退職金が支払われ、受給額は掛金の積立期間や金額に応じて決定されます。
退職金制度や中退共加入の有無は転職エージェントや就業規則を確認!
3つ目の「紹介予定派遣」とは、一定期間派遣で働いてから正社員・パートとして採用される仕組みのことです。
派遣期間満了後に正社員・パートとして採用された際、勤務先(薬局)に退職金制度がある場合、あなたは退職金を貰える可能性があります。
ただ、将来的に正社員・パートで仕事することが前提のため、「派遣薬剤師」という柔軟な働き方では無くなる可能性も考えなければなりません。
薬剤師が貰える退職金の平均金額は?
一般的な薬剤師が貰える退職金の平均金額はいくらでしょうか。
薬剤師に限定した退職金の統計調査はないため、東京都産業労働局が中小企業を対象に調査、集計したモデル退職金の統計表を下記に示します。
勤続年数10年で退職した場合、企業規模(従業員数)や自己都合退職・会社都合退職で変動するものの、約100万円となります。
一般的に薬剤師が勤務する調剤薬局は従業員数10〜49人であることが多く、モデル退職金が参考になると考えます。
ドラッグストアや病院においても、企業規模が同等であれば同様の傾向となります。
自己都合退職 | 会社都合退職 | |||
---|---|---|---|---|
従業員数 | ||||
勤続年数(年) | 10人〜49人 | 100人〜299人 | 10人〜49人 | 100人〜299人 |
5 | 407,000 | 492,000 | 563,000 | 725,000 |
10 | 1,036,000 | 1,237,000 | 1,371,000 | 1,689,000 |
15 | 1,915,000 | 2,426,000 | 2,433,000 | 3,036,000 |
20 | 3,032,000 | 4,117,000 | 3,735,000 | 4,846,000 |
25 | 4,294,000 | 6,048,000 | 5,143,000 | 6,830,000 |
30 | 5,666,000 | 8,381,000 | 6,674,000 | 9,131,000 |
33 | 6,677,000 | 10,168,000 | 7,631,000 | 11,190,000 |
定年 | 9,793,000 | 13,230,000 |
国公立施設に勤務する薬剤師の退職金
国公立施設に勤務する薬剤師の退職金は各種公表資料から概算できます。
退職手当(退職金)=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給割合)+調整額
調整額とは、在職期間中の貢献度に応じた加算額ですが、「勤続9年以下の自己都合退職者等は調整額が支給されない」とされているため0円で計算。
全地方公共団体の薬剤師の平均基本給が331,237円
勤続9年の自己都合退職者の支給割合が4.5198
結果、150万円前後と概算可能です。
引用:人事院 退職手当制度の概要
引用:総務省 第5表 職種別職員の平均給与額
退職金は各社の規定で異なるため、あくまで参考値です!
派遣薬剤師転職で高待遇の転職を成功させるコツ
最後に、派遣薬剤師転職で高待遇の転職を成功させるコツをご紹介します。
結論、複数の転職サイトに登録し、あなたの希望に合った求人を探すことです。
各転職サイトには、「求人数」「対象地域」「福利厚生」「コンサルタントの質」、その他条件で得意・不得意があります。
コンサルタントの質に関しては、人と人の相性なので、同じ転職サイトを使ってもネットの口コミやイメージ通りの結果にならないこともあるでしょう。
そのため、全社の得意を自分のものに出来るよう複数の転職サイトに登録し、あなたの希望に合った求人を探すことが重要です。
加えて、あなたの希望や自己PRを明確にしておくことで、コンサルタントが理想的な求人を探してくれるため、自己分析や情報整理もコツになります。
参考記事:派遣薬剤師デビューに最適!おすすめの派遣会社5選【2025年】
まとめ
本記事では、派遣薬剤師でも退職金を貰えるかについてご紹介しました。
結論、派遣薬剤師は退職時にまとまった退職金を貰えないが、退職金に相当する金額が時給に上乗せされている、と考えるのが一般的です。
「紹介予定派遣」や「退職金制度がある派遣会社で働く」と退職金を貰えることもありますが、薬剤師では期待できないことが多いです。
ただ、派遣薬剤師の時給は退職金に相当する金額が考慮されて高く設定されており、正社員やパートより手取りが多いこともあります。
また、「紹介予定派遣」では将来的に正社員・パートになることが前提のため、「派遣薬剤師」という柔軟な働き方では無くなる可能性も考えなければなりません。
派遣薬剤師の退職金について記載しましたが、退職金のみならず、時給や勤務時間を含めた待遇なども考慮して派遣会社を選ぶことが重要です。
本記事が派遣薬剤師への転職を考えるあなたの参考になっていれば幸いです。